「これは凄くワクワクしたぞ」
「どういう映画?」
「潜水艦のホラー映画」
「Uボート?」
「いや、アメリカの潜水艦。ガトー級だと思う」
「普通、潜水艦ならUボートだろう」
「いやいや。『普通、潜水艦ならUボートだろう』と思う気持すらトリックの一部になっているからこれはこれでいいんだよ」
「えー」
「ともかく、予測不能の事件の真相まであって、これは楽しかった」
ネタバレ感想行くぞ §
「どんなネタバレだよ」
「この映画の構造はね。こうなるわけ」
- Uボートに沈められたイギリス病院船の生存者をアメリカの潜水艦が助ける
- 実はUボートの振る舞いが不可解
- 死んだ艦長の不可解な行動もある
- 実は、Uボートだと思われていた潜水艦は、生存者を救出したアメリカの潜水艦そのもの
- 死んだ艦長の不可解な行動もそれで説明ができる
「要約すると?」
「味方撃ちなんだよ。敵と誤認して味方を撃った」
「それにどんな意味があるの?」
「戦争ではよくあることだ。基地に帰還した味方機を敵機と思い込んで対空陣地が撃ってしまうとかね。そんな話はいくらでもある」
「それってまさか」
「普通の戦争映画は敵を撃つ。でもリアルな戦争なら味方を撃つ。そういう意味で、凄くリアルな戦争ものとも言えるんだよ」
「えー」
「バッテリーから出る水素が燃焼して乗組員がまとめて死んでしまう展開とかもそう」
「敵の攻撃で死んだわけではないのか」
「そうだ。そういう理由でも人は死ぬ。それが戦争の別の面だ。それを描いてこそのリアルな戦争だ」
メカ描写 §
- 主役メカがガトー級(たぶん)なのがイイ!
- 潜水艦が綺麗すぎるけど、それでいいのかは何とも言えない
- 艦型識別表を見て調べる描写がイイ
- 艦内の狭さがよく描かれている
- 船舵が収納式で、それが開かれて水中に潜る描写がイイ!
- 海の中で音がするのもいい
- 爆雷が音を立てて船体の上を移動していくのもいい
「ガトー級って何?」
「太平洋戦争で日本を敗戦に追い込んだ立役者だが、ミリタリーマニアにはかなり無視されている兵器」
「えー」
「日本が負けた理由はミッドウェーでアンラッキーな一撃を食らったからでも、VT信管で飛行機を落とされたからでもない。無制限潜水艦作戦で商船をどんどん沈められて日本に物資が入らないようにされたから負けたんだ」
「武士は食わねど高楊枝、じゃないの?」
「兵器作ってる一般工員は御飯を食べるんだよ」
「食料さえ自給できれば」
「兵器の原材料も入ってこなくなるんだよ」
「えー」
「どんな優秀な高射砲が久我山にあっても、砲弾を製造する原料が無ければガラクタに過ぎない」
「ひ~」